大阪の桐たんす職人、喜んでハマる

2016-12

伝産旅行記2016 (非公式版!) - 2016.12.04 Sun

誰でも、ひとりもの思いにふけりたい時ってあるもんです。
西山公園(鯖江)レッサーパンダ

今年の伝統的工芸品の全国大会は福井県。
それに合わせて大阪泉州桐箪笥の組合の旅行がありました。

永平寺、これはもう外せないスポットですが、
どうにも大きすぎるのが・・
その中でも心が動くのは、こんな木だったりするもので・・
永平寺

まあ、自分ていうのは勝手な人で、
いやいや、この勝手さが推進力なんだってうそぶいたりしてもいるんですけど、
周りの人は迷惑してると思うんです。
この旅行記は同行したメンバーが知らないものなんですね。
(このブログでのお付き合いの長い方はご存知かと思われますが・・)

鯖江市が会場でした。
鯖江は眼鏡!
ですけど、それ以外は何?か全くわからない。

こんな時には会場案内なんかをしてる地元の人に聞く。
基本です。
「有名じゃないけど私はこれが好き」そんなお土産は?

眼鏡堅パン!
眼鏡堅パン
やっぱり眼鏡でした。
でもこんなベタなお土産が「意外とおいしい」と。
たしかにそうでした。
とっても堅く、でも味のある、パンというよりは、イタリアのビスコッティに近いお菓子ですね。

「見るところは?」
と、西山公園なるところにレッサーパンダがいる、と。
独りでレッサーパンダ見てもなあ・・と思いつつも、
こういうところは現地の人の言に素直に従ってみるもんです。

3,40分歩いて行くと小高い丘が見えてきました。
西山公園(鯖江)
おお、こりゃここ登って眺め見るだけでもええやん!
西山公園(鯖江)
ますます気分の良さそうな気配。

西山公園(鯖江)

で、レッサーパンダです。
西山公園(鯖江)レッサーパンダ

西山公園(鯖江)レッサーパンダ
こんな感じで、ウロウロしてる姿が見られる動物園。
西山公園(鯖江)レッサーパンダ
冒頭で独りごちてたのが彼。

レッサーパンダ以外にもリスザル、トキ、クジャクなどなど、小さいけれど、見どころのある動物たちが無料で見ることのできる場所でした。
予想以上に面白く、たしかにおススメのスポットでした。

さて、鯖江のまち中を進むと、なんとなく感じのよい、心ひかれるお寺が。
誠照寺(鯖江市)

ちょいとおじゃますると、大きなデンとした建物が、
誠照寺(鯖江市)
誠照寺(じょうしょうじ)

詳しいことは時間の都合で割愛させてもらいますが、
建物の印象、瓦の色、木の色、たたずまい、場所の雰囲気に何かしら親近感を感じます。
居心地の良さ、というか。
多分、一人になりたい時に、ここに来て心を穏やかにして帰ることのできそうな、自分にとってそんなお寺という感覚がありました。
と、言うもののここを訪ねることが出来るのはいつやら?なのですが、近くに住んでいればしばしば訪ねるだろうなあという。

こんな看板にも出会いました。
木村パン(鯖江市)
そうです。
「眼鏡堅パン」は戦時中作られていたものをべースにしているお菓子。
そのお店の前を通りがかりました。

北陸は戦争中大陸に兵隊を送り出す港があった。
そんな歴史を知る旅でもありました。
「気比神宮」でもそういう話を伺いましたし、舞鶴の「引揚記念館」にも寄りました。

最後に、宿泊した三方五湖の水月湖からの朝の一コマ。
水月湖(三方五湖)
もやのかかった湖面に月と見まごう太陽が幻想的な景色を見せてくれました。

そこでの散歩。
もや越しの紅葉を撮ろうと思ったら、偶然フレームインした同僚のイチザエモンさん(仮称)が、
印象的におさまっているので、これは旅の記念だよなあ、と。
水月湖(三方五湖)
ガードレールのラインと斜面の接点にピタリと!
いい構図、ですよね?

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続・エンピツ削り - 2016.09.04 Sun

今年のお盆休みには、
高校時代の友人宅に行き、懐かしい時間を過ごしていました。

ずいぶん長居させてもらった中で、このブログも開いてもらったりして、
奥さまが「エンピツ削り、すごい!」と、ほめてくださいます。
ちょいといいに気分になったりして。

で、おっしゃるのには、5年生の娘さんが「この小さくなったエンピツを喜ぶに違いない!」と。
鉛筆削り

さきちゃん!
自分の娘じゃありませんが、
笑顔をのせて、かわいいやろう!って自慢したいくらいの娘さん!

帰宅すると色エンピツ、筆箱を出してきて、しばしのエンピツ削りタイムに。

「筆箱のエンピツはいつも削ってあるから残念」と言ってましたが、
そこからさらに尖らせられるのが手の削り。
チョイチョイチョイ

これで喜んでもらえるならお安い御用です、てなことを言ってましたが、

じゃ、削ってみて。
鉛筆削り
そうなりますね。


持ち方の基本を話します。
右手でカッターを持ち、左手の親指で押して削る。

「初めてエンピツ削り教えてもらうのが伝統工芸士ってすごくね!?」
友人も上手いこと言っててくれます。

右手はむしろ持つだけに近く、しっかり角度を決める。
その時言葉にはしなかったけど
大事なのは、両手でより安定せて削るということですね。

あらためて、刃物研ぎに通じるなあと心の中で感じながら、

削り進み、芯だけを削る段になると、右手だけで軽くちょっとずつ進みます。
左手はエンピツを回している。
鉛筆削り

その時のカッターはもちろん替え立てのはずはなく、切れ味はけして良くない。
こういう時は力を入れ過ぎず、少しずつ進む必要があります。

ややヒマ食ってるなあと感じてるところへ、
さきちゃんが「きれいで速い」と言ってくれます。
家族一同気分よくしてくれる‥‥


いやそれより、はた!と気付きがありました。
『刃物研ぎもこれでいいんや!』



そう、自分は前回書いているわけです、エンピツ削りは刃物研ぎの参考になるって。
だから分かっているはず。
でも、さきちゃんの言葉にさらに気付きが。
「速いとは思ってないのに速いと言われた」ことで、ボタンの掛けかえがされたような感覚です。

我々は常に速くということを念頭に置いています。
刃物も短時間で研ぎたい。

でも、きれいな仕上がりにするためには、ゆっくり、数をかけることが必要な場合がある。
もちろん、このことも分かってはいるはずのことです。
でも、分かりの度合いが変わった、いうのでしょうか。



自分の休み明けの仕事は明らかに変化がありました。
(誰もそんなこと知りはしませんけどねえ・・)
「じゃ、今まではどうだったの?」って言われちゃいそうですが、
この仕事ってそんなもんやでなあ、っていうのが自分の実感なんです。


言葉で前に進む。
伝えることの面白さというのは日々感じるものです。
さきちゃんに教わったというのではないかも知れませんが、そのやり取りの中で発見があった。

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友人宅にはもう一人の友人と訪ねたのですが、
「また会いたい!」と言ってくれるかわいいさきちゃん、
その時までにエンピツ削りをマスターすると約束してくれました。

何より積極的なところがいいなあと。
自分のやりたいことにスッと入って行ける。
そういう素直さのようなものを大切にして欲しいなあ、と。

遠く離れた所にかわいい弟子ができたと勝手に思って、
次の出会いを楽しみにしているんです。


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鉛筆削り - 2016.05.22 Sun

ふと思うんです。
自分の仕事の原点は鉛筆削りだったんだなあ、と。
鉛筆削りと刃物研ぎ

たしか小学5年の時。
家には電動でこそなかったものの、鉛筆を挟んでクルクルとハンドルを回すやつがありました。

なにゆえかある日、ふとナイフで削ってみようと思った
どのくらい練習したのか?は覚えてませんが、だんだん削れるように。

出来るようになると削り器なんかは使わないようになります。
尖らせ具合や角度を自由に出来ますから。
鉛筆削りと刃物研ぎ

手回しで削ったようにきれいな形にしよう!なんてことも。

ある日
クラスの友達に「鉛筆削り」を使ったらダメじゃないかって言われことがあって、
いやいやこれカッターで削ってるよ、ってなことがありました。

まあ、その時どれだけ削れていたのかは分かりませんが、
その時からすでに職人の道を歩き始めていたのですね・・・

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ところで、カッターも使って行くと少しづつですが、切れが悪くなります。
そうすると 刃を折って新しい部分を使う。
鉛筆削りと刃物研ぎ

いつ刃を折るのか?
これはその時分のテーマでした。
そうそう折っていていられない。
けど、いい削りには切れる刃が欲しい。

どこかで折る決断をします。

一度に何区切り分を折るのか?のパターンも生まれます。

これは今、
工場で丸ノコの刃を取り替えるタイミングをはかるのと同じだと気付きます。

鉛筆削りと刃物研ぎ

電動の工作機械は切れが鈍っても、少々は切り進められてしまう・・・
でもどこかでスイッチする。

そんな場合に大切なのは、初めの切れ味を記憶しておくこと。
小学時分にも下ろし立てのカッターの切れ味を意識していた記憶がありますねえ。

工場で共用の機械を使っていると、誰が刃の交換をすると決まってはいなかったりすることも・・・
でも、率先して換えることは、そういうことからしても価値があると考えています。

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その他、鉛筆削りには刃物研ぎのヒントが含まれているなあと思うことが多い。

鉋の刃は表と裏から研ぎ、
鉛筆は四方八方から削るという違いがあるものの
まず、形が似ています。
鉛筆削りと刃物研ぎ

二層式。
鉋は地金の部分と先端の鋼とで構成されてます。

違いというのは、
鉛筆の場合、柔らかい芯の部分を固い木で補強してあり、
逆に、鉋は固い鋼を柔らかい地金で補強してあります。

鉋の刃は全てを鋼で作ってしまうと、研ぐのに労力を要します。

また、鉋は「裏押し」という、玄能で叩いて刃先をたわめる作業が必要で、
その際、固いが故に衝撃でパリンと割れてしまう可能性のある鋼を
可塑性の高い地金で補強しておくという役割があります。


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鉛筆も使い初めはザクザクと削り
鉛筆削りと刃物研ぎ

だんだんと力を弱めて、
最後には出来るだけ軽くちょっとずつ削り、
場合によってはカッターを立てて芯の部分をこそぐように削ったりもします。

これは、砥石は番手の荒いものから、細かいものに入れ換えて研ぎ進める事に符合してます。
鉛筆削りと刃物研ぎ


カッターの力が強すぎると鉛筆の芯の先を蹴散らしてしまうという事象も、刃物研ぎに通じます。
鉛筆削りは適度な力加減、動かすスピードのヒントとなる。

また、カッターの切れが悪くなると、
鉛筆を尖らせることが出来なくなることも経験的に知っていましたが、
これは、刃物研ぎの最後に使う天然砥の質が重要だということを理解するのに役立ちます。
鉛筆削りと刃物研ぎ

木工の仕事をする人は、質の良い天然砥を求めてさ迷っているものです。

刃物研ぎを模式的にシンプルに考えられるのが鉛筆削り。
刃物研ぎは全ての木工に携わる人の永遠のテーマですが、
何がまずいのか?
どうしたらいいのか?
思い悩む時、鉛筆削りの場合はどうなのか?問いかけるんです。

    ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

まだまだ、
砥石の修正の仕方、刃物のストロークについてなどヒントは沢山ありますが、
今日はこのくらいにしておきます。
目の前でやりながら話すほうがよいと思うので・・・

小学生の時に何気なく始めた鉛筆削りは原点だというものの、
そこからスタートしたという以上に経るほどそこへ回帰して行くもののようです。

    ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

さてさて、最後にもう1つだけ鉛筆削りのエピソードを。

物作りが好きな子が集まっていたクラスでの桐箱作り体験。
用意した鉛筆を見て「これは『鉛筆削り』で削ったもんじゃない」って
興味を示してた子供たちがいました。

そこへちょうどその鉛筆の芯が折れたから、「ほな削ろか?」
って言ったら、ワッと4、5人の子に取り囲まれたってことがありました。

初めて見たんでしょうか、
「たかが鉛筆削り」かと思われるのに、子供たちの興味の持ちようが、面白くもあり嬉しくもあり、
「されど鉛筆削り」なのかも知れないなあ、と感じたものです。

鉛筆削りと刃物研ぎ

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Author:大阪の桐たんす職人
東京生まれ。でも関西弁が好きで、関西に来てしまいました。
桐たんす屋ばっかり3社目で、現在は岸和田の「初音の家具」にいます
伝統工芸士:学光です

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