大阪の桐たんす職人、喜んでハマる

2016-10

続・エンピツ削り - 2016.09.04 Sun

今年のお盆休みには、
高校時代の友人宅に行き、懐かしい時間を過ごしていました。

ずいぶん長居させてもらった中で、このブログも開いてもらったりして、
奥さまが「エンピツ削り、すごい!」と、ほめてくださいます。
ちょいといいに気分になったりして。

で、おっしゃるのには、5年生の娘さんが「この小さくなったエンピツを喜ぶに違いない!」と。
鉛筆削り

さきちゃん!
自分の娘じゃありませんが、
笑顔をのせて、かわいいやろう!って自慢したいくらいの娘さん!

帰宅すると色エンピツ、筆箱を出してきて、しばしのエンピツ削りタイムに。

「筆箱のエンピツはいつも削ってあるから残念」と言ってましたが、
そこからさらに尖らせられるのが手の削り。
チョイチョイチョイ

これで喜んでもらえるならお安い御用です、てなことを言ってましたが、

じゃ、削ってみて。
鉛筆削り
そうなりますね。


持ち方の基本を話します。
右手でカッターを持ち、左手の親指で押して削る。

「初めてエンピツ削り教えてもらうのが伝統工芸士ってすごくね!?」
友人も上手いこと言っててくれます。

右手はむしろ持つだけに近く、しっかり角度を決める。
その時言葉にはしなかったけど
大事なのは、両手でより安定せて削るということですね。

あらためて、刃物研ぎに通じるなあと心の中で感じながら、

削り進み、芯だけを削る段になると、右手だけで軽くちょっとずつ進みます。
左手はエンピツを回している。
鉛筆削り

その時のカッターはもちろん替え立てのはずはなく、切れ味はけして良くない。
こういう時は力を入れ過ぎず、少しずつ進む必要があります。

ややヒマ食ってるなあと感じてるところへ、
さきちゃんが「きれいで速い」と言ってくれます。
家族一同気分よくしてくれる‥‥


いやそれより、はた!と気付きがありました。
『刃物研ぎもこれでいいんや!』



そう、自分は前回書いているわけです、エンピツ削りは刃物研ぎの参考になるって。
だから分かっているはず。
でも、さきちゃんの言葉にさらに気付きが。
「速いとは思ってないのに速いと言われた」ことで、ボタンの掛けかえがされたような感覚です。

我々は常に速くということを念頭に置いています。
刃物も短時間で研ぎたい。

でも、きれいな仕上がりにするためには、ゆっくり、数をかけることが必要な場合がある。
もちろん、このことも分かってはいるはずのことです。
でも、分かりの度合いが変わった、いうのでしょうか。



自分の休み明けの仕事は明らかに変化がありました。
(誰もそんなこと知りはしませんけどねえ・・)
「じゃ、今まではどうだったの?」って言われちゃいそうですが、
この仕事ってそんなもんやでなあ、っていうのが自分の実感なんです。


言葉で前に進む。
伝えることの面白さというのは日々感じるものです。
さきちゃんに教わったというのではないかも知れませんが、そのやり取りの中で発見があった。

       ∝∝∝∝∝∝∝∝∝∝

友人宅にはもう一人の友人と訪ねたのですが、
「また会いたい!」と言ってくれるかわいいさきちゃん、
その時までにエンピツ削りをマスターすると約束してくれました。

何より積極的なところがいいなあと。
自分のやりたいことにスッと入って行ける。
そういう素直さのようなものを大切にして欲しいなあ、と。

遠く離れた所にかわいい弟子ができたと勝手に思って、
次の出会いを楽しみにしているんです。


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鉛筆削り - 2016.05.22 Sun

ふと思うんです。
自分の仕事の原点は鉛筆削りだったんだなあ、と。
鉛筆削りと刃物研ぎ

たしか小学5年の時。
家には電動でこそなかったものの、鉛筆を挟んでクルクルとハンドルを回すやつがありました。

なにゆえかある日、ふとナイフで削ってみようと思った
どのくらい練習したのか?は覚えてませんが、だんだん削れるように。

出来るようになると削り器なんかは使わないようになります。
尖らせ具合や角度を自由に出来ますから。
鉛筆削りと刃物研ぎ

手回しで削ったようにきれいな形にしよう!なんてことも。

ある日
クラスの友達に「鉛筆削り」を使ったらダメじゃないかって言われことがあって、
いやいやこれカッターで削ってるよ、ってなことがありました。

まあ、その時どれだけ削れていたのかは分かりませんが、
その時からすでに職人の道を歩き始めていたのですね・・・

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ところで、カッターも使って行くと少しづつですが、切れが悪くなります。
そうすると 刃を折って新しい部分を使う。
鉛筆削りと刃物研ぎ

いつ刃を折るのか?
これはその時分のテーマでした。
そうそう折っていていられない。
けど、いい削りには切れる刃が欲しい。

どこかで折る決断をします。

一度に何区切り分を折るのか?のパターンも生まれます。

これは今、
工場で丸ノコの刃を取り替えるタイミングをはかるのと同じだと気付きます。

鉛筆削りと刃物研ぎ

電動の工作機械は切れが鈍っても、少々は切り進められてしまう・・・
でもどこかでスイッチする。

そんな場合に大切なのは、初めの切れ味を記憶しておくこと。
小学時分にも下ろし立てのカッターの切れ味を意識していた記憶がありますねえ。

工場で共用の機械を使っていると、誰が刃の交換をすると決まってはいなかったりすることも・・・
でも、率先して換えることは、そういうことからしても価値があると考えています。

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その他、鉛筆削りには刃物研ぎのヒントが含まれているなあと思うことが多い。

鉋の刃は表と裏から研ぎ、
鉛筆は四方八方から削るという違いがあるものの
まず、形が似ています。
鉛筆削りと刃物研ぎ

二層式。
鉋は地金の部分と先端の鋼とで構成されてます。

違いというのは、
鉛筆の場合、柔らかい芯の部分を固い木で補強してあり、
逆に、鉋は固い鋼を柔らかい地金で補強してあります。

鉋の刃は全てを鋼で作ってしまうと、研ぐのに労力を要します。

また、鉋は「裏押し」という、玄能で叩いて刃先をたわめる作業が必要で、
その際、固いが故に衝撃でパリンと割れてしまう可能性のある鋼を
可塑性の高い地金で補強しておくという役割があります。


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鉛筆も使い初めはザクザクと削り
鉛筆削りと刃物研ぎ

だんだんと力を弱めて、
最後には出来るだけ軽くちょっとずつ削り、
場合によってはカッターを立てて芯の部分をこそぐように削ったりもします。

これは、砥石は番手の荒いものから、細かいものに入れ換えて研ぎ進める事に符合してます。
鉛筆削りと刃物研ぎ


カッターの力が強すぎると鉛筆の芯の先を蹴散らしてしまうという事象も、刃物研ぎに通じます。
鉛筆削りは適度な力加減、動かすスピードのヒントとなる。

また、カッターの切れが悪くなると、
鉛筆を尖らせることが出来なくなることも経験的に知っていましたが、
これは、刃物研ぎの最後に使う天然砥の質が重要だということを理解するのに役立ちます。
鉛筆削りと刃物研ぎ

木工の仕事をする人は、質の良い天然砥を求めてさ迷っているものです。

刃物研ぎを模式的にシンプルに考えられるのが鉛筆削り。
刃物研ぎは全ての木工に携わる人の永遠のテーマですが、
何がまずいのか?
どうしたらいいのか?
思い悩む時、鉛筆削りの場合はどうなのか?問いかけるんです。

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まだまだ、
砥石の修正の仕方、刃物のストロークについてなどヒントは沢山ありますが、
今日はこのくらいにしておきます。
目の前でやりながら話すほうがよいと思うので・・・

小学生の時に何気なく始めた鉛筆削りは原点だというものの、
そこからスタートしたという以上に経るほどそこへ回帰して行くもののようです。

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さてさて、最後にもう1つだけ鉛筆削りのエピソードを。

物作りが好きな子が集まっていたクラスでの桐箱作り体験。
用意した鉛筆を見て「これは『鉛筆削り』で削ったもんじゃない」って
興味を示してた子供たちがいました。

そこへちょうどその鉛筆の芯が折れたから、「ほな削ろか?」
って言ったら、ワッと4、5人の子に取り囲まれたってことがありました。

初めて見たんでしょうか、
「たかが鉛筆削り」かと思われるのに、子供たちの興味の持ちようが、面白くもあり嬉しくもあり、
「されど鉛筆削り」なのかも知れないなあ、と感じたものです。

鉛筆削りと刃物研ぎ

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桐のマークは良いマーク - 2016.02.07 Sun

毎日作っている桐たんすですが、

その桐の木には5月ごろ、こんな花が咲きます。
それを図案化したもの、いわゆる紋章がこれです。
桐の花 五三桐

紋章の中ではメジャーなもので、ご存知のかたもおられるかとは思いますが、
葉っぱがあって花が上にあります。

木全体はこんな感じに。
桐の木

桐の木の特徴に成長が早いということがあります。
花も上に向かって咲く。
花色は高貴とされる紫。

詳しくはウィキペディア「桐紋」を見てもらうほうがよいとは思いますが、
昔から桐はその木材としての有用性(大切な物、お宝は全て桐の箱、箪笥などに納められて来ました。)とも相まって、
桐紋は重用されてきました。


かの太閤さん、豊臣秀吉もみずからの紋章に採用しています。
「太閤桐」
太閤桐

また、その太閤さんへの敬意から、工場の面々が所属しているわが春木旭町のだんじりも、桐の紋章を使っているので、
だんじり倉庫の扉にも大きく描かれてます。
春木旭町だんじり 桐の紋章

桐紋には「五三の桐」と「五七の桐」花びらの数で二種あります。
五七桐

醍醐寺にも使われていますし、
醍醐寺 桐の紋章


ここにもあります。
桐のマーク

ホテルでもこんな桐のマークがあったり、
ホテルグランヴィア 桐の紋章

さらにはこんな方々も。
桐の紋章 政府の紋章
日本の政府の紋章は桐です

こんなところにも。
桐の花 五百円硬貨

桐はけして馴染みの薄いものではありません。
桐のマークは良いマーク、なんです。
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Author:大阪の桐たんす職人
東京生まれ。でも関西弁が好きで、関西に来てしまいました。
桐たんす屋ばっかり3社目で、現在は岸和田の「初音の家具」にいます
伝統工芸士:学光です

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