大阪の桐たんす職人、喜んでハマる

2017-04

平坦じゃない平坦への道のり - 2015.04.25 Sat

この4月、2人の新人社員さんが入り、桐箪笥修行に励んでます。
あらためて、道のりは平坦ではないなあ、と思うものです。

自分の時など思い出しつつ、
彼らのためにもなる、であろう記事を。

「まっすぐ」、です。
いたってシンプル‥でも深い。

まっすぐ、平ら、というのは全ての作業の基本となるものです。
でも、長年仕事をしてると、案外なおざりにされてるんじゃないの?って感じるテーマです。

例えば、
鉋 桐 鉋 桐

ひき初めのうちはいいのですが、最後は鉋の台が部材を外れるので‥‥
勢いをつけてシャッとひく。

鉋というのは、均一な厚みの鉋くずが出るもの
これが基本ですが、横から見たとしてみると‥
鉋 桐 鉋 桐

この引き抜きぎわ、鉋の重さのまま下向きにひいてしまうとガクッとなって、
木の端がだれる、丸まるという状態になります。

だから、まっすぐ引く。

ただ、この記事の一番初めの写真のように、上から押さえて鉋を引いていると
まっすぐ引いてるつもりでも、やや上に向かって引っ張りがちなもんです。
(ついビビッて。)

横からのイメージで言うと、こう。
鉋 桐

ひき終わりがどうなっているか?
この意識が大事だと思っています。





さらに、鉋をまっすぐひくためには手の動きだけでなく、
鉋の台が平らさ、つまりはまっすぐになっている必要があります。
これに関する記事もありますが、かゆい所に手が届く!【台直し鉋】

台が凸凹で、歪んでいたらいくら小細工しようとしても、まっすぐ進みません。

これも、色々あって一言では言い表せませんが、普段の仕事では、完全平らにするのではなく、ポイントを押さえた平らにします。

       ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

また、砥石

これも平らにして使いなさい、というのが基本
これも記事にしたものがありますが「砥石も研ぎます」
研ぎの場合も砥石の端の使い方というのは難しいものです。

砥石の平らを維持しながら研ぎ進めるには、理屈で言うと、
砥石全体を使いつつ、ストロークの始めから終わりまでを同じ力で研がないといけない。
鉋 研ぎ

でも、自然と、最初と終わり(つまりは砥石の端)では力もゆるむので、中間部がえぐれてしまう。
可能な限り(ガクッとならないように、怪我などしないように)上下の越えて研ぐ。
鉋 研ぎ 鉋 研ぎ

同様に左右の端も力がゆるみます。
だから、なるべく長いストロークで砥石全体を使う。
左右にも移動させながら研ぐ。


(もちろん刃物の種類、砥石の状態によって全体でなく、一部を使うこともありますが‥)

ただ、一般的に斜めに保持する鉋の刃であれば、
始めから均一に使うことを放棄してるとも言えます。

なので、刻々と変形して行く砥石の中で、いかに平らを保つようにしながら、
変化の少ないうちに研ぎあげるか?
が研ぎのポイントと言えるのだろうと思っています。




またまた、刃物のしのぎもまっすぐ、が求められます。
鉋 研ぎ
これも簡単ではありませんが、

砥石は、段階を追って細かい凹凸のもので研ぐもので、
刃先が丸くだれていると、その凹凸が刃先にまで触れない、触れにくくなる、
ということがあるからです。



長々話してきましたが、
基本でありながら、すぐには感覚がつかめないものかも知れません。
少しも新人向きの内容じゃないのかも知れません。

そしてこのまっすぐ話、じつはまだまだ続きがあるんですが‥今日の所はこのくらいで。

何より皆さんにとっては分からん??という話で申し訳ないのですが、おゆるしあれ。。

         にほんブログ村 住まいブログ 大工・職人へ   

       
スポンサーサイト

けびき! - 2015.03.09 Mon

「けびき」です。
けびき
木工の基本の道具の1つです。

「毛引き」「罫引き」などと書きまして、
「罫を引く」、「毛のような細い線を引く」道具です。

けびき
木の端から平行の筋を入れることが出来ます。

例えば、木の厚みをひろって、それを記す。そんな使い方です。
けびき けびき

竿をスライドさせることでその幅を変えます。

ナイフ状の刃がちょんと出てて、その刃の長く出てるものは「割り毛引き」。
板の上と下から刃を入れることで、ある程度の厚みのものなら割り出すことが出来ます。
けびき



で、その「けびき」
自分はこれだけ持ってます。
けびき

竿の止めかたが2パターンあって、市販のもののネジ式と、クサビ式です。
けびき

微調整しなから使うのはクサビ式。
竿を当ててながら位置を決めます。
けびき

クサビ式の「けびき」は言うなれば「フリーけびき」で、2丁は欲しい。
こんなふうに、2つの長さの線を何枚かの板に引き進めて行くというパターンがあるからです。
けびき

一方のねじ式は主に長さを固定したまま使ってます。
けびき

1分、2分、2分5厘、3分、5分といった長さのものは、しょっちゅう使いますからねえ。



同じ道具がたくさんある光景。
鉋
鉋なら、いちいち刃の出し入れをしないで、刃の出具合が異なる鉋をさっと持ち変えて使う。

この仕事をしていると、どうしても道具の数が多くなってしまうもんです。

         にほんブログ村 住まいブログ 大工・職人へ   

       

パソコン的なもの - 2014.12.29 Mon

今年も一年ありがとうございました。
ブログはすっかりおっぽらかしてしまって・・
気にかけてくださる皆々さま、感謝しております。

振り返ると、今年は仕事しかしなかたような。
最後の仕事場風景もこんな感じで、
仕事の整理術 桐箪笥
年ごとのきれいな区切りなどありません。

ただ、仕事に追われてたばかりでもなく、追いかけてもいて、
今年は基本を再確認するというテーマで、いくつか前進がありました。
(特に基本となるのは刃物を研ぐということですね。)


仕事の仕方ということでは、今年から記録の仕方を変えました。

桐たんす一本につき1枚のルーズリーフ。
仕事の整理術 ルーズリーフ
(2本ないし3本まとめて作業する場合はまとめて記入して。)

今までもどんな作業をやったかということをノートに記していたものの、
仕事の整理術 
ノートに1日一行という形態で、見返すことはなし。
振り返りはしないものの、何も書き留めずに進んで行けないという感覚がありますねえ。


これを、「日にち割り」から「箪笥割り」に変えたわけです。
大雑把にですが、どんな作業にどのくらいの時間を費やしているのか?が
枠の範囲で感覚的に掴め、全体の所要日数も管理しやすい。
やや詳しくコメントも残しておきます。
仕事の整理術 ルーズリーフ
当然見返す場面も出てきます。
前回の同型箪笥との比較も簡単に。


このルーズリーフというのは昔からあるものですけど、出し入れ、組み替え自由でパソコン的なもんやなあと、あらためて思いました。

そのはかにパソコン的だと思って始めたのがホワイトボードです。
仕事の整理術 ホワイトボード

もちろん、これも何でもない100均で手に入る昔からあるものですが、
パソコンのクリップボードのような感覚があるよなあ、と。
仕事の整理術 ホワイトボード
その日の予定やら、進み具合、注意喚起をメモしたりしてます。

パソコン的な整理とらえ方はイロイロ参考になることがあります。
写真がないのですが、「タグ」とか「名前をつける」「フォルダ」という概念も利用してます。

これまた100均に色んな色、形、文字の入った紙のタグが売っていて、
ストックしてる部材をそのイメージと結びつくタグでくくってあります。

またいくつかの部材(特にちょっとした部材、端材というような部材)には呼び名のないものがあるのですが、呼び名がないことで、自分の中でウエイトが小さくなってしまいがち。
名前つける」ことで、その言ってみれば、とるに足らない(実際は欠くことの出来ない大事なもの)部材、作業がクローズアップされたりします。
「LG」とか「土門」とか「ピエ」などと勝手に、自分独りが分かる呼称ですね。

今年はこんなふうに基本を追って来たつもりなのですが、
思うのは「基本というのは強い」ということですねえ。
そして基本というのは最初に学んでそれで終わり、というようなもんじゃなくて、いつまでも追い続ける必要があるもんなんかもなあ、と思った次第です。


来年は今年よりはブログの本数をあげます!と言いたい気持ちもありますが、
今年以上の仕事(中身はもちろん量としても)をせにゃならん!というところなので・・
悪しからず、こんなブログに来年もお付き合いいただけたら幸いです。

みなさま良い年をお過ごし下さいませ!

         にほんブログ村 住まいブログ 大工・職人へ   

       

魔法のつえ - 2014.06.18 Wed

   こんな棒がありまして、
          桐たんす つえ

 桐箪笥の設計図。
  というほど大げさなもんでもないんですが、箪笥を作る時にまず準備するもので、
「つえ(杖)」と呼んでます。
      桐たんす つえ

高さ方向の、棚やら引き出し、扉などの割り振りが書かれたもの。
これに合わせて本体を切りますし、各部材の準備(木取り)の時にも使います。


桐箪笥のような一点一点手作りする物の性質として「実測的」ということがあります。

つまり、「この部分は何尺だから」という『モノサシ』『寸法』を使って作業するよりも、
「これ!この長さで切る。」という感覚です。
実際の長さのもので考えたり、作業するほうが通りがいい。
(もちろん寸法で作業することもあります。)

桐箪笥に使う尺寸の「さし」。
桐たんす 木取り


桐箪笥屋で「つえ」と呼んでいるのは高さ方向のものなのですが、
当然、横方向にも応用できます。
桐たんす つえ

桐箪笥には定番の大きさがあり、
3尺3寸(約100cm)
3尺5寸(約106cm)
3尺8寸(約115cm)
4尺(約121cm)などです。

別注で、これ以外の長さのものがあれば、「横ヅエ」を作ります。

上の写真の衣装盆。
仮にその部材の端に節やらキズがあるとき、ここを切り落としても長さが足りるのか?
パッとその「つえ」を当てて確認します。
もし長さが足りないのなら、より間口の小さい桐箪笥に使う、ということになります。


手仕事、桐箪笥の実測的なやり方としては、
「落ち」というものがあります。
桐たんす つえ
寸法に切り揃えた時の切り落とし部分。

「落ち」各種。
桐たんす サシ


これを割り振りに使います。
引き出し部分なら「棚板の落ち」を置いて筋を入れる。

この時に、「引き出しの高さのつえ」も用意しておいて、
桐たんす つえ
「引き出しのつえ」と「棚板の落ち」をじゅんぐりにして、ズレがないか?の確認を
あらかじめしておきます。
桐たんす つえ
引き出しが4段あれば1厘(0.3㍉ほど)やそこいらのズレは出てしまうので、
「引き出しのつえ」より1厘ずつ長い所に印しを入れておこう、等など。

もちろんモノサシでもできます。
ただ、桐箪笥にう使うモノサシは単に筋があるだけのものなので、
「つえ」を使うことで目盛りの見間違いを防ぐことが出来ます。

なあんだ、と思うかもしれませんけど、
そう、実際わずかの違いのようですが、スムースさがあるんです。



同様に「引き出しの3ッ割りのつえ」も作ってあります。
桐たんす つえ
これも同じ使い方ですが
こちらは一つが、1尺1寸7分3厘なんていう寸法なので「引き出し3ツ割のつえ」は、より有効です。


「上戸のつえ」はさらに機能的です。
同じ大きさの引き戸2つがあって真ん中で3cmほど重なってます。
桐たんす つえ
こんなふうに2本のつえで確認して、長さを切る。
これは寸法管理ではしにくく、実際の大きさの棒があれば一撃です。

こんなふうに木取りの場面でも、
木の節やらキズやらをかわしつつ、無駄のないように木取りをするのに使えます。
桐たんす 落ち

そのほか
桐たんす つえ
3通りの奥行きの寸法が一つになったもの、箪笥の中央を印したもの、など
まだまだイロイロ持ってます。
桐たんす つえ


なんでもない棒、
でも使い方次第で、なくてはならない『魔法の杖』になる。
そして何より、間違いをなくすための『転ばぬ先の杖』なんです。


         にほんブログ村 住まいブログ 大工・職人へ   

       

 - 2014.01.26 Sun

うまく行ってない時の音っていうのがあります。

「なんか変な音してるでえ」って思うと、
たいていそんな時はアクシデントが起きてる。
音に現れるんですよねえ。

隣の人の作業の音が聞こえてるだけなのに、こっちまでなんだか焦ってくるてなこともありますし、
耳障りな音をたてる人の仕事は、やっぱりどっかしらガサガサしてるもんです。

緩るさ‥なんてのが聞こえて来ることも。

「人となりが仕事に現れる」って言うけど、
姿を見なくても音にその人の仕事ぶりが現れるもの
やなあって思うんです、この頃。

逆に上手く行ってる時は?
音が気にならない。
音の大きい小さいじゃあないんですよねえ。


音って大事


音から得る情報というと、
缶詰の中身に傷んだりしたものがないか?を検査するのにフタをポンポン叩いて確かめる「打音検査」なんていうものもありますし、
開いて見ることの出来ない建造物のヒビや割れを探すのにハンマーで叩いて音を聞く方法もありますね。



桐たんすで言うと木釘の音があります。
桐箪笥 音

木釘はクサビ状なのでしっかり打ち込むことが大事だけれど、ある程度の所でやめてしまったとしても、打ち足りてないことが見た目では分かりません。
その時に音が頼り。

木釘が効いてる時はキュンキュンというような音がしますが、
感触とともにコンコンというかわいらしくない音へ変わり、ここまでという判断します。


組み手は、緩くもなくきつくもないという適度な接し具合が必要なのですが、
桐箪笥 音
いい固さの時にはバネのようなビンビンという音がします。

組み手が入り切らない内に、やはりコンコンという愛想ない音がするならばどこかしら削る必要がありますし、
その音をちゃんと聞くために金づちでなくここでは木槌を使っています。


ノミは?
桐箪笥 音

よく研げていて切れているノミは叩くと固い音がします。
カチカチという感じの下の台を直接叩いてるような音。


をひく時はどうでしょう?
シャーっといい音をたてて、なんていうイメージがありますけど、
桐箪笥 音

むしろ音が少ないのがよいと思ってます。
抵抗が少ないから、ですね。



自分の音はいい音なのか?
問いかけながらの毎日です。

   ブログランキングに参加しています!
         にほんブログ村 住まいブログ 大工・職人へ   

       

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

ランキングに参加してます!

にほんブログ村 ファッションブログ 着物・和装(教室・業者)へ


カテゴリ

桐たんす選びのポイント (12)
大阪泉州桐箪笥(実例) (19)
桐たんすの再生(洗い替え) (4)
桐の小物 (10)
桐たんすの豆知識 (4)
木工 (29)
鉋 (10)
研ぐ (5)
伝統工芸 (21)
岸和田&『カーネーション』 (9)
イベント (14)
写真・旅行 (25)
タヌキとワンコと家の庭 (12)
グルメやら音楽 (16)
ブロガーさん (5)
未分類 (3)
初音の家具 (2)
よもやま話 (1)

リンク

このブログをリンクに追加する

最新コメント

にほんブログ村

プロフィール

大阪の桐たんす職人

Author:大阪の桐たんす職人
東京生まれ。でも関西弁が好きで、関西に来てしまいました。
桐たんす屋ばっかり3社目で、現在は岸和田の「初音の家具」にいます
伝統工芸士:学光です

最新記事

最新トラックバック

カウンター

月別アーカイブ

あしあと

検索フォーム

RSSリンクの表示

QRコード

QRコード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる