魔法のつえ - 2014.06.18 Wed
こんな棒がありまして、

桐箪笥の設計図。
というほど大げさなもんでもないんですが、箪笥を作る時にまず準備するもので、
「つえ(杖)」と呼んでます。

高さ方向の、棚やら引き出し、扉などの割り振りが書かれたもの。
これに合わせて本体を切りますし、各部材の準備(木取り)の時にも使います。
桐箪笥のような一点一点手作りする物の性質として「実測的」ということがあります。
つまり、「この部分は何尺だから」という『モノサシ』『寸法』を使って作業するよりも、
「これ!この長さで切る。」という感覚です。
実際の長さのもので考えたり、作業するほうが通りがいい。
(もちろん寸法で作業することもあります。)
桐箪笥に使う尺寸の「さし」。

桐箪笥屋で「つえ」と呼んでいるのは高さ方向のものなのですが、
当然、横方向にも応用できます。

桐箪笥には定番の大きさがあり、
3尺3寸(約100cm)
3尺5寸(約106cm)
3尺8寸(約115cm)
4尺(約121cm)などです。
別注で、これ以外の長さのものがあれば、「横ヅエ」を作ります。
上の写真の衣装盆。
仮にその部材の端に節やらキズがあるとき、ここを切り落としても長さが足りるのか?
パッとその「つえ」を当てて確認します。
もし長さが足りないのなら、より間口の小さい桐箪笥に使う、ということになります。
手仕事、桐箪笥の実測的なやり方としては、
「落ち」というものがあります。

寸法に切り揃えた時の切り落とし部分。
「落ち」各種。

これを割り振りに使います。
引き出し部分なら「棚板の落ち」を置いて筋を入れる。
この時に、「引き出しの高さのつえ」も用意しておいて、

「引き出しのつえ」と「棚板の落ち」をじゅんぐりにして、ズレがないか?の確認を
あらかじめしておきます。

引き出しが4段あれば1厘(0.3㍉ほど)やそこいらのズレは出てしまうので、
「引き出しのつえ」より1厘ずつ長い所に印しを入れておこう、等など。
もちろんモノサシでもできます。
ただ、桐箪笥にう使うモノサシは単に筋があるだけのものなので、
「つえ」を使うことで目盛りの見間違いを防ぐことが出来ます。
なあんだ、と思うかもしれませんけど、
そう、実際わずかの違いのようですが、スムースさがあるんです。
同様に「引き出しの3ッ割りのつえ」も作ってあります。

これも同じ使い方ですが
こちらは一つが、1尺1寸7分3厘なんていう寸法なので「引き出し3ツ割のつえ」は、より有効です。
「上戸のつえ」はさらに機能的です。
同じ大きさの引き戸2つがあって真ん中で3cmほど重なってます。

こんなふうに2本のつえで確認して、長さを切る。
これは寸法管理ではしにくく、実際の大きさの棒があれば一撃です。
こんなふうに木取りの場面でも、
木の節やらキズやらをかわしつつ、無駄のないように木取りをするのに使えます。

そのほか

3通りの奥行きの寸法が一つになったもの、箪笥の中央を印したもの、など
まだまだイロイロ持ってます。

なんでもない棒、
でも使い方次第で、なくてはならない『魔法の杖』になる。
そして何より、間違いをなくすための『転ばぬ先の杖』なんです。


桐箪笥の設計図。
というほど大げさなもんでもないんですが、箪笥を作る時にまず準備するもので、
「つえ(杖)」と呼んでます。

高さ方向の、棚やら引き出し、扉などの割り振りが書かれたもの。
これに合わせて本体を切りますし、各部材の準備(木取り)の時にも使います。
桐箪笥のような一点一点手作りする物の性質として「実測的」ということがあります。
つまり、「この部分は何尺だから」という『モノサシ』『寸法』を使って作業するよりも、
「これ!この長さで切る。」という感覚です。
実際の長さのもので考えたり、作業するほうが通りがいい。
(もちろん寸法で作業することもあります。)
桐箪笥に使う尺寸の「さし」。

桐箪笥屋で「つえ」と呼んでいるのは高さ方向のものなのですが、
当然、横方向にも応用できます。

桐箪笥には定番の大きさがあり、
3尺3寸(約100cm)
3尺5寸(約106cm)
3尺8寸(約115cm)
4尺(約121cm)などです。
別注で、これ以外の長さのものがあれば、「横ヅエ」を作ります。
上の写真の衣装盆。
仮にその部材の端に節やらキズがあるとき、ここを切り落としても長さが足りるのか?
パッとその「つえ」を当てて確認します。
もし長さが足りないのなら、より間口の小さい桐箪笥に使う、ということになります。
手仕事、桐箪笥の実測的なやり方としては、
「落ち」というものがあります。

寸法に切り揃えた時の切り落とし部分。
「落ち」各種。

これを割り振りに使います。
引き出し部分なら「棚板の落ち」を置いて筋を入れる。
この時に、「引き出しの高さのつえ」も用意しておいて、

「引き出しのつえ」と「棚板の落ち」をじゅんぐりにして、ズレがないか?の確認を
あらかじめしておきます。

引き出しが4段あれば1厘(0.3㍉ほど)やそこいらのズレは出てしまうので、
「引き出しのつえ」より1厘ずつ長い所に印しを入れておこう、等など。
もちろんモノサシでもできます。
ただ、桐箪笥にう使うモノサシは単に筋があるだけのものなので、
「つえ」を使うことで目盛りの見間違いを防ぐことが出来ます。
なあんだ、と思うかもしれませんけど、
そう、実際わずかの違いのようですが、スムースさがあるんです。
同様に「引き出しの3ッ割りのつえ」も作ってあります。

これも同じ使い方ですが
こちらは一つが、1尺1寸7分3厘なんていう寸法なので「引き出し3ツ割のつえ」は、より有効です。
「上戸のつえ」はさらに機能的です。
同じ大きさの引き戸2つがあって真ん中で3cmほど重なってます。

こんなふうに2本のつえで確認して、長さを切る。
これは寸法管理ではしにくく、実際の大きさの棒があれば一撃です。
こんなふうに木取りの場面でも、
木の節やらキズやらをかわしつつ、無駄のないように木取りをするのに使えます。

そのほか

3通りの奥行きの寸法が一つになったもの、箪笥の中央を印したもの、など
まだまだイロイロ持ってます。

なんでもない棒、
でも使い方次第で、なくてはならない『魔法の杖』になる。
そして何より、間違いをなくすための『転ばぬ先の杖』なんです。


スポンサーサイト