鉛筆削り - 2016.05.22 Sun
ふと思うんです。
自分の仕事の原点は鉛筆削りだったんだなあ、と。

たしか小学5年の時。
家には電動でこそなかったものの、鉛筆を挟んでクルクルとハンドルを回すやつがありました。
なにゆえかある日、ふとナイフで削ってみようと思った
どのくらい練習したのか?は覚えてませんが、だんだん削れるように。
出来るようになると削り器なんかは使わないようになります。
尖らせ具合や角度を自由に出来ますから。

手回しで削ったようにきれいな形にしよう!なんてことも。
ある日
クラスの友達に「鉛筆削り」を使ったらダメじゃないかって言われことがあって、
いやいやこれカッターで削ってるよ、ってなことがありました。
まあ、その時どれだけ削れていたのかは分かりませんが、
その時からすでに職人の道を歩き始めていたのですね・・・
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ところで、カッターも使って行くと少しづつですが、切れが悪くなります。
そうすると 刃を折って新しい部分を使う。

いつ刃を折るのか?
これはその時分のテーマでした。
そうそう折っていていられない。
けど、いい削りには切れる刃が欲しい。
どこかで折る決断をします。
一度に何区切り分を折るのか?のパターンも生まれます。
これは今、
工場で丸ノコの刃を取り替えるタイミングをはかるのと同じだと気付きます。

電動の工作機械は切れが鈍っても、少々は切り進められてしまう・・・
でもどこかでスイッチする。
そんな場合に大切なのは、初めの切れ味を記憶しておくこと。
小学時分にも下ろし立てのカッターの切れ味を意識していた記憶がありますねえ。
工場で共用の機械を使っていると、誰が刃の交換をすると決まってはいなかったりすることも・・・
でも、率先して換えることは、そういうことからしても価値があると考えています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
その他、鉛筆削りには刃物研ぎのヒントが含まれているなあと思うことが多い。
鉋の刃は表と裏から研ぎ、
鉛筆は四方八方から削るという違いがあるものの
まず、形が似ています。

二層式。
鉋は地金の部分と先端の鋼とで構成されてます。
違いというのは、
鉛筆の場合、柔らかい芯の部分を固い木で補強してあり、
逆に、鉋は固い鋼を柔らかい地金で補強してあります。
鉋の刃は全てを鋼で作ってしまうと、研ぐのに労力を要します。
また、鉋は「裏押し」という、玄能で叩いて刃先をたわめる作業が必要で、
その際、固いが故に衝撃でパリンと割れてしまう可能性のある鋼を
可塑性の高い地金で補強しておくという役割があります。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
鉛筆も使い初めはザクザクと削り

だんだんと力を弱めて、
最後には出来るだけ軽くちょっとずつ削り、
場合によってはカッターを立てて芯の部分をこそぐように削ったりもします。
これは、砥石は番手の荒いものから、細かいものに入れ換えて研ぎ進める事に符合してます。

カッターの力が強すぎると鉛筆の芯の先を蹴散らしてしまうという事象も、刃物研ぎに通じます。
鉛筆削りは適度な力加減、動かすスピードのヒントとなる。
また、カッターの切れが悪くなると、
鉛筆を尖らせることが出来なくなることも経験的に知っていましたが、
これは、刃物研ぎの最後に使う天然砥の質が重要だということを理解するのに役立ちます。

木工の仕事をする人は、質の良い天然砥を求めてさ迷っているものです。
刃物研ぎを模式的にシンプルに考えられるのが鉛筆削り。
刃物研ぎは全ての木工に携わる人の永遠のテーマですが、
何がまずいのか?
どうしたらいいのか?
思い悩む時、鉛筆削りの場合はどうなのか?問いかけるんです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
まだまだ、
砥石の修正の仕方、刃物のストロークについてなどヒントは沢山ありますが、
今日はこのくらいにしておきます。
目の前でやりながら話すほうがよいと思うので・・・
小学生の時に何気なく始めた鉛筆削りは原点だというものの、
そこからスタートしたという以上に経るほどそこへ回帰して行くもののようです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
さてさて、最後にもう1つだけ鉛筆削りのエピソードを。
物作りが好きな子が集まっていたクラスでの桐箱作り体験。
用意した鉛筆を見て「これは『鉛筆削り』で削ったもんじゃない」って
興味を示してた子供たちがいました。
そこへちょうどその鉛筆の芯が折れたから、「ほな削ろか?」
って言ったら、ワッと4、5人の子に取り囲まれたってことがありました。
初めて見たんでしょうか、
「たかが鉛筆削り」かと思われるのに、子供たちの興味の持ちようが、面白くもあり嬉しくもあり、
「されど鉛筆削り」なのかも知れないなあ、と感じたものです。


自分の仕事の原点は鉛筆削りだったんだなあ、と。

たしか小学5年の時。
家には電動でこそなかったものの、鉛筆を挟んでクルクルとハンドルを回すやつがありました。
なにゆえかある日、ふとナイフで削ってみようと思った
どのくらい練習したのか?は覚えてませんが、だんだん削れるように。
出来るようになると削り器なんかは使わないようになります。
尖らせ具合や角度を自由に出来ますから。

手回しで削ったようにきれいな形にしよう!なんてことも。
ある日
クラスの友達に「鉛筆削り」を使ったらダメじゃないかって言われことがあって、
いやいやこれカッターで削ってるよ、ってなことがありました。
まあ、その時どれだけ削れていたのかは分かりませんが、
その時からすでに職人の道を歩き始めていたのですね・・・
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
ところで、カッターも使って行くと少しづつですが、切れが悪くなります。
そうすると 刃を折って新しい部分を使う。

いつ刃を折るのか?
これはその時分のテーマでした。
そうそう折っていていられない。
けど、いい削りには切れる刃が欲しい。
どこかで折る決断をします。
一度に何区切り分を折るのか?のパターンも生まれます。
これは今、
工場で丸ノコの刃を取り替えるタイミングをはかるのと同じだと気付きます。

電動の工作機械は切れが鈍っても、少々は切り進められてしまう・・・
でもどこかでスイッチする。
そんな場合に大切なのは、初めの切れ味を記憶しておくこと。
小学時分にも下ろし立てのカッターの切れ味を意識していた記憶がありますねえ。
工場で共用の機械を使っていると、誰が刃の交換をすると決まってはいなかったりすることも・・・
でも、率先して換えることは、そういうことからしても価値があると考えています。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
その他、鉛筆削りには刃物研ぎのヒントが含まれているなあと思うことが多い。
鉋の刃は表と裏から研ぎ、
鉛筆は四方八方から削るという違いがあるものの
まず、形が似ています。

二層式。
鉋は地金の部分と先端の鋼とで構成されてます。
違いというのは、
鉛筆の場合、柔らかい芯の部分を固い木で補強してあり、
逆に、鉋は固い鋼を柔らかい地金で補強してあります。
鉋の刃は全てを鋼で作ってしまうと、研ぐのに労力を要します。
また、鉋は「裏押し」という、玄能で叩いて刃先をたわめる作業が必要で、
その際、固いが故に衝撃でパリンと割れてしまう可能性のある鋼を
可塑性の高い地金で補強しておくという役割があります。
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鉛筆も使い初めはザクザクと削り

だんだんと力を弱めて、
最後には出来るだけ軽くちょっとずつ削り、
場合によってはカッターを立てて芯の部分をこそぐように削ったりもします。
これは、砥石は番手の荒いものから、細かいものに入れ換えて研ぎ進める事に符合してます。

カッターの力が強すぎると鉛筆の芯の先を蹴散らしてしまうという事象も、刃物研ぎに通じます。
鉛筆削りは適度な力加減、動かすスピードのヒントとなる。
また、カッターの切れが悪くなると、
鉛筆を尖らせることが出来なくなることも経験的に知っていましたが、
これは、刃物研ぎの最後に使う天然砥の質が重要だということを理解するのに役立ちます。

木工の仕事をする人は、質の良い天然砥を求めてさ迷っているものです。
刃物研ぎを模式的にシンプルに考えられるのが鉛筆削り。
刃物研ぎは全ての木工に携わる人の永遠のテーマですが、
何がまずいのか?
どうしたらいいのか?
思い悩む時、鉛筆削りの場合はどうなのか?問いかけるんです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
まだまだ、
砥石の修正の仕方、刃物のストロークについてなどヒントは沢山ありますが、
今日はこのくらいにしておきます。
目の前でやりながら話すほうがよいと思うので・・・
小学生の時に何気なく始めた鉛筆削りは原点だというものの、
そこからスタートしたという以上に経るほどそこへ回帰して行くもののようです。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
さてさて、最後にもう1つだけ鉛筆削りのエピソードを。
物作りが好きな子が集まっていたクラスでの桐箱作り体験。
用意した鉛筆を見て「これは『鉛筆削り』で削ったもんじゃない」って
興味を示してた子供たちがいました。
そこへちょうどその鉛筆の芯が折れたから、「ほな削ろか?」
って言ったら、ワッと4、5人の子に取り囲まれたってことがありました。
初めて見たんでしょうか、
「たかが鉛筆削り」かと思われるのに、子供たちの興味の持ちようが、面白くもあり嬉しくもあり、
「されど鉛筆削り」なのかも知れないなあ、と感じたものです。



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